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防爆カメラとは?実用例や安全な作業のための正しい選び方

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防爆カメラとは、着火源になりにくい加工が施された製品です。工場など、爆発リスクが高い現場の防犯・監視に利用されています。

工場の監視や防犯のために、防爆カメラを検討されている方は、選び方やカメラの規格についてお困りではないでしょうか。

本記事では、防爆カメラの概要や選び方、現在の規格について解説します。

防爆カメラとは?

防爆カメラとは?

防爆カメラとは、工場や揮発性の高い薬品などを扱う場所での、爆発を防ぐための加工が施された製品です。危険場所と呼ばれる現場での監視・防犯目的に使用されます。

爆発リスクが高い場所でも安全に使用可能

ガスや蒸気、粉塵が舞いやすい工場では、電子機器による火花や静電気、熱によって爆発を引き起こすリスクがあります。しかし、防爆カメラは火花や静電気、熱などによる爆発を防ぐための加工がされているため、危険場所でも爆発を引き起こしにくいです。

防爆カメラは強度の高い箱に本体が内蔵されており、万が一内部で爆発が起きても、外部に火炎が漏れない設計です。

防爆カメラの規格は8段階に分類され、構造によって使用に適切な危険場所が定められています。作業員の安全確保や資産の保護のために、爆発リスクがある場所では防爆カメラを使いましょう。

危険場所とは

危険場所とは、可燃性ガスの発生頻度とガスの種類から観測して判断します。そのため、可燃性ガスが常時発生している場所は危険度が高いです。

また、可燃性ガスによって爆発しやすいものは当然、危険度が上がります。危険場所のレベルに合わせ、防爆カメラの規格を選ばなければなりません。

防爆カメラが導入されている場所の例

防爆カメラを導入している場所の例を紹介します。

  • 医薬品工場
  • 鉄鋼工場
  • 自動車関連工場
  • 石油化学プラント
  • 塗装関連

医薬品工場や鉄鋼工場では、可燃性ガスが発生し、また工場内も高温となります。防爆カメラの導入により、適切な監視や安全管理、事故リスクの低減が実現可能です。

防爆カメラの使用目的

防爆カメラの使用目的

防爆カメラの使用目的は主に2つです。

作業員の安全管理

危険場所は可燃性ガスが発生しており、また工場内も高温になるなど、事故リスクが高い場所です。防爆カメラで常時現場を監視することで、作業員の安全管理に役立ちます。

機械系統が正常に稼働しているか、作業員が適切な操作・作業をしているかを監視できるためです。作業員の安全のために、防爆カメラの設置は必須といえるでしょう。

防犯

工場内に侵入し、設備や資材を持ち出す盗難や内部不正を防止できる点も、防爆カメラのメリットです。防犯カメラがあれば、万が一不正・事件が起きても、証拠として警察に提出できます。

また、監視カメラがあることで犯罪の抑止効果も期待できます。

防爆カメラの正しい選び方

防爆カメラの正しい選び方を解説します。防爆規格や危険場所の分類を確認し、監視する場所の危険度に応じて、適切な規格の防爆カメラを選んでください。

防爆規格

日本の防爆規格は以下の2つです。

防爆規格 特徴
構造規格
(電気機械器具防爆構造規格)
昭和44年に制定された日本独自の防爆規格
・標準容器における爆発等級を1〜3で示す
・発火温度による発火度をG1〜G6で示す
整合指針
(工場電気設備防爆指針)
国際規格に準拠した防爆規格
(2015年・2018年・2020年の規格が有効)
・爆発しやすさを(ガスグループⅡA・ⅡB・IIC)で示す
・発火温度による温度等級をT1〜T6で示す

防爆規格は、上記2つのどちらを利用しても問題ありません。ただし、構造規格と整合規格は表示企業・対象となる危険場所に相違があるため、よく確認してからカメラを選びましょう。

構造規格では、防爆構造を8つに分類し、「d2(防爆構造の種類)2(爆発等級)G4(発火度)」のように、記号で示されています。

構造 記号 特徴
耐圧防爆構造 (d) 容器が内部に侵入した可燃性ガスによる内部爆発を起こしても、損傷を受けないケースを使用。
油入防爆構造 (o) カメラの火花やアークが発生する可能性がある部分を、容器内の油に浸す構造。
安全増防爆構造 (e) 着火源になる恐れがない電子機器に対し、より安全性を高める構造。
内圧防爆構造 (f) 容器の中に保護ガスを注入し、内部の圧力を高めて、容器外部の可燃性ガス・蒸気が中に入り込まないようにする構造。
本質安全防爆構造 (i) ほかの防爆構造と比べて防爆性能が高い。通常時のみならず故障時にも、火花・アークなどの着火源が発生しない。
特殊防爆構造 (s) 耐圧・内圧・安全増・本質安全・樹脂充電防爆構造に該当しない防爆構造のこと。公的機関の試験に合格し、防爆性が認められたものにのみ適用される。
非点火防爆構造 (n) 通常時・故障時を通じて外部に転化する恐れがない電子機器に適用される構造。
樹脂充填防爆構造 (m) 火花やアークなどの着火源が発生する部分を、樹脂で加工した構造・

それぞれの構造により、向いている危険場所が異なります。

構造 ゾーン2 ゾーン1 ゾーン0
本質安全防爆構造
耐圧防爆構造 ×
内圧防爆構造 ×
安全増防爆構造 × ×
油入防爆構造 ×  ×

ゾーン0が最も危険性が高いため、より安全度の高い防爆カメラが必要です。

次に、国際規格に準拠した「整合指針」について解説しましょう。

グループ記号 防爆カメラを設置する場所にある可燃性物質の分類を示したもの
温度等級 防爆カメラが耐えられる最高表面温度

ia(防爆構造の種類)ⅡC(グループ記号) T4(温度等級)」のように、防爆構造の種類と対応した可燃性物質・温度等級が示されています。

海外の工場で防爆カメラを使用する場合、国際規格に適合していないと、使用できません。設置する国についても考えたうえで、防爆カメラを選びましょう。

危険場所の分類

危険場所とは、「可燃性ガスが発生する頻度が高い場所」および「可燃性ガスの種類」によって分類されます。

ゾーン2 可燃性ガスが異常時に発生する 危険度は低い
ゾーン1 可燃性ガスが時々発生する 危険度は中くらい
ゾーン0 可燃性ガスが常時発生している 危険度は高い

構造規格では、上記ゾーンのレベルに合わせて、防爆カメラの構造を選ばなければなりません。ゾーン0の場合は可燃性ガスが常時発生しているため、「構造規格」の場合は『本質安全防爆構造』基準のカメラがおすすめです。

可燃性物質への対応

防爆カメラを選ぶ際は、監視場所に存在する可燃性物質を調べてから選びましょう。

構造規格の可燃性物質は、以下のようにレベル分けされます。

爆発等級1 爆発等級2 爆発等級3
発火度G1 ・アセトン
・アンモニア
・一酸化炭素
・エタン
・酢酸
・トルエン
・ベンゼン
・メタン
・石炭ガス ・水性ガス
・水素
発火度G2 ・エタノール
・酢酸イソペンチル
・酢酸エチル
・ブタン
・プロパン
・メタノール
・エチレン
・エチレンオキシド
・アセチレン
発火度G3 ・ガソリン
・ヘキサン
発火度G4 ・アセトアルデヒド
・ジエチルエーテル
発火度G5 ・二硫化炭素

整合指針の場合の危険物質は、以下のとおりです。

グループ記号ⅡA グループ記号ⅡB グループ記号ⅡC
温度等級 T1 ・アセトン
・アンモニア
・エタン
・酢酸
・トルエン
・ベンゼン
・メタン
・一酸化炭素 ・水素
温度等級 T2 ・酢酸エチル
・ブタン
・プロパン
・メタノール
・エタノール
・エチレン
・エチレンオキシド
・アセチレン
温度等級T3 ・ヘキサン
温度等級T4 ・アセトアルデヒド ・ジエチルエーテル
温度等級T5 ・二硫化炭素
温度等級T6

製品に記載された記号を読み解いて、監視場所に存在する可燃性物質に対応しているかを確認して、カメラを決めましょう。

まとめ

防爆カメラは、着火源となりにくい構造になっており、工場や可燃性ガスが充満した現場の監視に最適です。作業員の安全を守るためにも、導入を検討してください。

また、防爆カメラを選ぶ際は、さまざまな規格の内容をチェックして選ばなければなりません。専門用語も多いため、何を選んで良いか自信がない方もいるででしょう。

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