防犯カメラ・監視カメラの設置時に確認しておきたい法律の基礎知識

個人情報保護法が反故にならないように

事前に設置すると分かっていても、カメラによって容姿などの個人情報を取得することになるので、防犯カメラ・監視カメラの製造を録画し保存することは個人情報を取得することになるのですが、情報の取扱いをどのように行えばよいのかを実例を交えてご紹介しようと想います。

個人情報と個人情報保護法について

個人情報とは、個人を特定できるに足る情報のことで、個人の氏名、生年月日など個人を特定する情報のことです。この個人情報の取扱いを規定している法律が2003年に成立した「個人情報の保護に関する法律」、通称「個人情報保護法」です。違反すると民法709条「損害賠償請求・慰謝料請求(不法行為など)」に設定されている論拠に基づき請求権を行使される場合があります。

つまり、監視カメラ・防犯カメラの映像だとしても個人を特定できる情報として個人情報にあたることになりますので、もしネットワークの不正侵入やパスワードの流出によって録画した情報が漏洩した場合には責任問題に発展する可能性もあります。

街頭防犯カメラであれば設置・運用方法が「都道府県警」および「管轄公安委員会」によって定められているため、各地方自治体、及び管轄の警察署に問い合わせれば運用方法を教えてもらえるので問題はないかとは思いますが、私有地や商業施設の場合には、個人情報保護法の18条(取得に際しての利用目的の通知等)の項目によって、情報の利用目的が明らかであると認められる場合を除いて、個人情報が取得される本人に利用目的を通知または公表しなければならない、と規定されているので、世間一般で認められている以上の分析や顔認証などのシステムを実現する場合には「利用目的が明らかであると認められる」場合に該当しない場合があるので、その利用法をポスターなどで告知しておく必要があります。

監視カメラ・防犯カメラ設置の注意点

経済産業省が公表しているガイドラインQ&Aによれば

Question
店舗等に防犯カメラを設置する場合、どのような店に注意が必要ですか?
Answer
防犯カメラの撮影により得られる容姿の映像により、特定の個人を識別することが可能な場合には、原則として個人情報の利用目的を本人に通知又は公 表しなければなりません。もっとも、「取得の状況 からみて利用目的が明らかであると認められる場合」には、その利用目的を公表等する必要がないとされており(法第18条第4項第4号)、一般に、防 犯目的のためにビデオカメラを設置し撮影する場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であると認められるものと解されます。しかし、防犯以外の目的で利用する場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らか」とは認められない可能性が高いため、当該利用目的を公表等する必要があります。
参考サイトURL:経済産業省 個人情報保護ガイドラインについて(外部サイト)

と規定されています。

政府のガイドラインによると、ビッグデータの利用促進ガイドラインとともにパーソナルデータに関しても規制を求める動きが加速しているようです。パーソナルデータ(個人の行動、状態に関するデータ)が個人情報保護法制定時には想定されてなかった利用法が行われるようになっているのに加え、一般消費者のプライバシー管理意識の高まりによって法律にのっとった対応を行っていても、社会的な批判を受けることが多くなってきています。その実例が次にご紹介する監視カメラの例です。

ジュンク堂書店(株式会社丸善ジュンク堂書店)の例

顔認証システム

2015年11月の記事なのですが、

参考URL:万引き常習犯の来店、顔認証で自動検知 ジュンク堂書店

書店大手の丸紅ジュンク堂書店が運営するジュンク堂書店が顔認識エンジンを実装した防犯カメラ映像解析システムを導入し、事前に読み込んでおいたブラックリスト(過去に万引きを行った、もしくはその可能性がある人物)の情報と照合して店員にリアルタイムに通知するシステムを導入した、という記事です。一見して特に問題ないニュースのように見えますが、個人情報保護法上の問題が合ってネット上で話題になりました。問題になったのは、上記個人情報保護法の18条に該当する部分です。ジュンク堂ではシステムの導入に際して、個人情報保護法の観点から店内には監視カメラで撮影していることを来店客に伝える張り紙を設置していたとのことです。

が、前述した個人情報保護法の18条では、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当しない可能性があります。一般的に考えると、監視カメラを設置して録画を行っている告知を張り紙でおこなったとしても、「あ、顔認証システムを導入してデータベースとして保存しているかも」、という判断は出来ようはずもないですよね。この点がグレーゾーンだったために当時は少しネット上で話題になりました。「個人情報保護法」の規定によれば、個人情報を5000件以上保有する企業は「個人情報取扱い事業者」としてこの法律に従わなければならないのですが、案外5,000人以上の個人情報(監視カメラで撮影した映像に累計5,000人以上の顔情報が含まれている)を保存している業者は映像の保存期間にもよりますが、一般の飲食店や小売店でも多いと思われます。ただし、これには例外規定があり、5,000件以上であっても半年以内に破棄するデータであればこのカウントには含みませんので、出来れば録画したデータの保存期間は半年以内に破棄するのが無難です。みなさんはどう思われるでしょうか。私は万引きによる被害額を鑑みると、技術の進歩に法整備が追いついていない典型的な例のように感じます。筆者個人的には早急に法律側の整備が必要なのではないかと思われます。

ちょこっとケーススタディ

Case1.待合室や打ち合わせスペースなどの空き状況を監視カメラで確認する場合

→原則として待合室に張り紙を張るなどの告知が必要です!ただし、個人が特定できない解像度に落として運用する、人の有無のみを判断できるセンサーを監視カメラ代わりとして利用する、などの解決策が考えられます。

Case2.会社の受付にビデオカメラを設置して訪問者の顔情報を記録するなどの場合

→6ヶ月以内に映像を破棄する運用方法であれば告知は不要です。同様に受付に会社名や氏名を書く受付票も情報は必ず6ヶ月以内に処分する必要があります。

Case3.顔認証システムを利用してスポーツジム等の施設の入退室管理に利用する場合

→事前の個人情報取得の同意が必須です。利用目的が一時利用でないことが明らかであるため、書面や口頭での取り決めが必要になります。

まとめ~今後の法整備の流れ~

今後、情報処理技術の発達に伴ってカメラメーカーや監視カメラ構築システムメーカーが安価に「顔認識」や「個人情報判別」などの機能をリリースしたり、記録した動画の解析サービスを提供したりすることもますます多くなってくると考えられます。こういったサービスを利用する際には、必要な情報開示をしっかりと行い、本人の同意が必要な利用法であるかどうかを制度と照らし合わせて判断しなければならないことに加え、法律で規定されていない一般消費者のプライバシー意識も考慮した方策を取る必要があります。

【防犯コラム】防犯カメラと監視社会?

余談ではありますが、皆さんは「監視社会(Surveillance Society)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。政府や警察、軍、公安機関などによって過度な監視が行われ、個人のプライバシーが侵害され、行動が制限されてしまう社会を表す言葉です。日本でも防犯カメラや監視カメラが一般に普及し、それがインターネットを通じて映像を配信できるネットワークカメラの機能を持つに至って取り沙汰されることが多い言葉です。この言葉の普及に一役買っているのがジョージオーウェルの『1984年』です。1948年に発表された独裁者ビッグブラザーが社会監視システム「テレスクリーン」を利用して国民を監視するという未来を描いたディスとピア小説です。最近で言えば他にも海外ドラマ『パーソンオブインタレスト』に登場する国民の電話のやインターネット利用状況、銀行口座を監視するシステムなど、フィクション上で頻繁に語られることが多い監視社会ですが、これらのフィクションが人気を博している背景には、実際に起こり得るかもしれない現在の社会状況を反映しているからではないでしょうか。いずれにしても個人の権利であるプライバシーにへの配慮を怠ると今回ご紹介したジュンク堂のように非難にさらされるかもしれませんので、「法律」と「利用者のプライバシー意識」の両方を意識して防犯・監視カメラを導入しましょう。

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